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『ファースト・マン』あらすじと感想レビュー【ネタバレ考察】

ファーストマン

ファースト・マン』は、デイミアン・チャゼル監督で2019年に日本公開された映画です。
ティゼル監督といえば、『セッション』や『ラ・ラ・ランド』でおなじみですね。

今作は「人類初の月面着陸」のニール・アームストロングの伝記映画です。

 

 

目次

 

ファースト・マンとは?

ファースト・マンの作品概要

 

ファースト・マンの簡単なあらすじとキャスト

人類史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの、1961年から1969年にかけての伝記。
NASAのミッションであるジェミニ計画アポロ計画が実話に基づいて描かれています。
ニール・アームストロング個人の視点・焦点で物語は展開していきます。

 

主要人物

 

 

ファースト・マンのネタバレ感想と考察

はじまりと終わりのふたつの死

映画のはじまりにふたつの死が描かれています。
ひとつ目は、空軍の新型機の飛行実験でコントロールを失い、命からがら免れたもののニール自身が感じた死。
ふたつ目は、ニールの愛娘カレンの非常に過酷な闘病の末の死。

そしてそのふたつをつなぐ、死の世界というメタファーとして「月」が描かれています。
無音の果てもなくなにもない寒々しい月面に、わたしは死を感じました。

そしてニール自身も作中よく月を見上げています。きっと亡きカレンを思っていたのかな。

 

棺桶と宇宙船

ジェミニ計画で初めて宇宙船に乗り込むニールは、狭い船内のシートを見て一瞬躊躇します。
それはきっと、カレンの棺桶を思い出したからでしょう。
ここでも「月=死」というメタファーが出てきますね。

 

果てしなく遠い月で、家族を見た男は何を思うか

月面着陸に成功したニールは、地球を見上げて家族に思いを馳せます。
しかし思い出の映像に流れてくるのは、カレンのことばかり。
地球にはまだ、生きてこれから育っていく二人の息子も待っています。
きっとニールは死に囚われていたのでしょう。

 

死という大地で、死からの解放

自室の引き出しでずっと大事にしまっていたカレンのブレスレット。
ニールはそれを宙に手放します。
そうすることで、きっとニールは死から解放されたんじゃないかなあと感じました。

 

帰ってきた地球で

作中ニールとジャネットは思い出の曲でチークダンスを踊ることもあれば、口数の少ないニールにフラストレーションを感じているジャネットの姿もありました。
そんなニールを待つジャネットは、アポロ11号からの無線を聞きながら、生きた心地はしなかったでしょう。

映画のラストは、地球へ戻って隔離施設にいるニールに面会するジャネットの2人の姿で終わります。
ガラス越しにキスを送り俯くニールに、ジャネットは手を添えて応えるも、2人とも再会を喜んでいるのかなんとも察しづらい表情でした。
もしかしたら、ニールの心はまだ少し死に引っ張られているのかもしれませんね。

 

と、つらつらと感想・考察を述べてきました。 ここからは、デイミアン・チャゼル監督オタクのわたしが感じた、チャゼル監督愛を語りたいと思います!

 

チャゼル監督オタクはこう観る

わたしはこの映画「ファースト・マン」は手放しに絶賛できるほど好きなのですが、きっと賛否の否は少なからずとは言えないほどあるだろうな〜と感じました!
わたしは現時点でチャゼル監督作品を3作観ているので最初から想定内だったのですが、今作も登場人物たちの心情が受け取りづらいんですよね。
主人公ニールは表情さえ硬いので特にですね。(仏頂面を演じたライアン・ゴズリングは素晴らしかった!)

またチャゼル監督は観客に考えさせる作風なので、物語の流れは史実なので分かりやすくも、「テーマが分からない!」となってしまうかもしれないなと感じました。
わたしはチャゼル監督の考えさせることをブン投げてくるスタイルが好きなので、考察しながら観る身構えができているのですが。
今回の「ファースト・マン」、わたしは『月=死』と感じましたが他の人の意見も聞きたいですね!

ストーリー・テーマの話はここまで。
ここからはチャゼル監督の変態的ともいえる映像・演出について語ります!

わたしは閉所恐怖症なので、映画「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督)など観るとゾワゾワソワソワ「ぎゃあぁ!」と自分のことのように怖くなってしまうのですが。
今回の「ファースト・マン」の宇宙船内の描写も、怖くて仕方がなかったです!!
搭乗した直後に扉を閉められると、環境音がぐうっと遮られるように無音になる感じ。もう既に閉塞感がやばい。
一匹のハエが潜り込んで羽音がするのも気持ち悪い。この演出、チャゼル監督の嫌なところが濃縮されています。(褒め言葉)

映像の質感や色合い、また宇宙船のディテールが60年代に寄せつつ現代に受け入れられるようにしているのがさすがですね。
アポロ11号の宇宙空間でのシーンは、なんだか特撮っぽくて面白かったのですが、これは日本人の特性なのかな…?笑